ボウニンゲンの小部屋

福岡市早良区で活動してます。ボウオフィスのブログです。日々思うことや出来事を綴っています。

小型映画、デジタル化計画 【番外編】

 ボウニンゲン2号です。

今回は番外編として、とある機器を紹介します。

8ミリフィルムの編集をするときに使っていた「スプライサー」という機器です。いろんなものがブラックボックス化してしまった現在において、絶対的アナログ的に、なにせ物理的に「切って」「貼って」する機器を改めて触っていると、それだけで楽しくなります。

 

では早速・・・。

8ミリフィルムの編集というは、フィルムそのものをリアルに「切って」「貼って」するわけですが、「貼る」には「ボンドで貼る」か「テープで貼る」かの二つの方法があります。ただ「ボンドで貼る」のは高い技術力と「乾くまで動かせなくなる」という制約があるので手軽ではありません。なので「テープで貼る」のが一般的です。

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 これが「ロールテープスプライサー」。

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これが「編集用テープ」です。パーフォレーション(フィルムを送るための穴)を塞いでしまわないように穴が空いています。これで前後のフィルムをつなぎ合わせるわけですね。

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ところが、ここで問題が。

サイレント(無音)の映画なら問題ないのですが、8ミリ映画でも音は入ります。この場合は前回で書いたとおり、フィルムに磁性体が貼り付けてあります。

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なので、磁性体にまでテープを貼ってしまうと、その部分だけ録音できず、映写するとブツブツおとが途切れてしまいます。

そこで開発されたのが「ステレオサウンドスプライサー」!

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実は「ロールテープスプライサー」でも片方の磁性体にはテープは貼りません。が、せっかく磁性体が2本あるなら両方使いたいですよね。

で、その作業手順とは?

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なんだかややこしいですね。順を追って見ていきましょう。

先ずは前後のフィルムをカットします。

ここでは分かり易いようにリーダーを付けることにします。

なお、本来ならフィルムの編集は手袋をしないといけません。手の油が付いてしまうと後々カビ発生の原因となるからです。まぁ、今回は不要なフィルムを使っているので素手でいきます。

カットするのはこの部分、断裁機のようになっています。

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カットします。

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つなげるフィルムをセットして、ひっくり返します。

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ひっくり返したことで、磁性体のある面が下になりました。そこでテープを貼ります。

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今度はテープをカットします。

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カットするのは3箇所、赤いラインの部分です。

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カットしたらフィルム部分は元に戻します。

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すると、さっきカットしたのは3箇所だったので、テープのこの部分が残っています。

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これを持っていきます。

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持っていって貼ります。

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これで磁性体の部分を避けて、両面にテープを貼れました!

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 いかがでしたか?

 30年ほど前、僕が初めてこのスプライサーを見たときはかなり感動しました。

 なんかこう・・・これを開発した人の執念みたいなものを感じませんか?

 「これがこうなったら、ここがこうなる」のが分かる機械。

 すごく魅力を感じるのは僕だけでしょうか。

 

 では、今回はここまで。ありがとうございました。